俺様編集者に翻弄されています!
「ああ、君は編集部の氷室君だね? ニューヨークの出版社から来たっていう。色々大変だろう?」

 額に玉のような油汗が乗っている部長を目の前に、氷室は仮面をかぶって笑顔で接する。


「はい。でももう数ヶ月経ちますから……いまだに不慣れなことはありますけど」


「あのユーリ先生の担当も君がやってるっていうじゃないか、後藤先生に君は両手に花だねぇ。けど、後藤先生の手前なんだが……ユーリ先生は今右肩上がりだから、うまく伸ばしてやってくれよ、こっちももっと売り込み部数を増やそうと考え中だから」



「ありがとうございます、必ず売れる作家なんで今後ともよろしくお願いします」


 横でつまらなそうにしているエミリーを無視して、氷室は軽く部長に頭を下げた。そして密かに唇を噛み締め、目を鋭く光らせた。。
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