俺様編集者に翻弄されています!
「今後、俺の目の前で宮森の話しはするな、気分が悪くなる。そんな男と話してるお前を見てるともっと胸糞悪い」


「ひ、ひどい……宮森さんは、ただ氷室さんのことをライバルみたいなものだって言ってただけです」


「はっ……ライバル……ね」


 氷室は自嘲気味に小さく笑いながら前髪をかきあげた。


「五年ほど前に大海出版の文芸にいたって、「艶人」の編集もやってたって……ただそんな話を―――っ!?」



 氷室が短く息を呑んだ次の瞬間、悠里の視界がぐるりと反転した。


「いった……」


 目を開けると、氷室の向こうに天井が見える。気がつけば、後ろにあったソファに押し倒されて、その身を埋めていた。

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