俺様編集者に翻弄されています!
「ん……」


 時が止まったような感覚の中で、悠里は徐々に氷室の唇の感触に絆され、全身の力が抜けていくのがわかった。


すると、無遠慮に悠里の口を割って入ってきた熱い塊が口腔を撫ではじめた。

「っ!?」


 氷室の舌が、悠里の舌にゆっくり絡みつくと自然と官能を刺激される。


(この温もりにいつまでも触れていたい……氷室さんの背中に腕を回したい)

 悠里の理性が吹き飛びそうになると、そんな衝動に駆られたその時―――。


(あれ……? この味)


 悠里の味覚がほんのり甘さを捉え、それが氷室の舌から伝わってきたものだと気づいた。


そして覚えのあるその味は、いつも突然口の中に放り込まれるあの飴の味だった。


 徐々に口腔をかき乱していた氷室の舌が唇の端を這い、首筋を伝って乱れかかった胸元にその熱い唇を押し当てられる。

 火傷しそうな吐息が皮膚にかかると、ゾクリと身体が震えた。
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