俺様編集者に翻弄されています!
 妙な静寂がリビングを満たして、ひとり残された悠里はゲストルームに向かう気力もなくそのままソファに横になっていた。



 ―――こんなこと……するはずじゃなかった。


 そう言われた時、悠里の心の中でガラスが割れるような音がした。

「はぁ……」


(あのキスの意味は一体なんだったのかな?)


 何度も自分の小説でキスシーンの描写は書き慣れてるなずなのに、いざ自分の身に降りかかると困惑してしまう。



 今まで過去に男性と何度か付き合った経験はある。

 けれど、いまいち本気になるには熱が低すぎた。もしかしたら自分は案外恋愛に淡白なのではないかとすら思ってしまう。


 悠里はぼんやりと天井で停止しているシーリングファンを眺めながら考えていた。
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