俺様編集者に翻弄されています!
 頭の中が真っ白でふわふわ浮いている感じがする。

 瞼の向こう側が明るい、はっきりそう認識できるのに身体が鉛のように重たかった。そして、遠くで都心の喧騒が聞こえる。


 昨夜、悠里はまったく夢を見ることができなかった。それだけ泥のように眠ってしまったのだと思う。

 悠里はゆっくり浮上してくる意識とともに目を開けた。


「ん……」


 見慣れない天井、見慣れない部屋―――。


(ここは、どこ……?)


 昨日のことを思い出してみると、悠里はがばりと身を跳ねさせて飛び起きた。


「氷室さん……?」

 見慣れない部屋に一人。悠里は現状を把握するのに頭をフルに回転させた。


(昨日のパーティで酔いつぶれて、氷室さんにマンションに連れてこられて、それから―――)

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