俺様編集者に翻弄されています!
「あぁぁぁん! なんなよ辛気臭い! はっきり言えば―――」


「なぁ、好きでもない男にいきなりキスされたらどう思う?」


「……な、なんだって?」

 氷室の唐突な言葉がナオママの動きを完全に止めると、氷室はハッとして言った。


「え? あ、い、いや……やっぱりなんでもない」


 思わず頭で考えていたことをぽつりと口に出てしまい、氷室は無用心さに口を噤んだ。


「ははぁん、わかったわよぉ~恋のお悩みね♥」


「なっ、そ、そんなんじゃねぇよ」


 ナオママはジョリジョリした顎をさすりながら舌なめずりする。


 氷室は迂闊に発した言葉を今更激しく後悔した。


「恋のお相手は、もしかしてユーリ先生じゃないの?」


「はぁ!? な、なんであいつが―――」


 突然急所を突かれて、氷室は柄にもなく狼狽えて腰を浮かせた。


 店内の客の視線を一気に集めてしまい、咳払いをしながら憮然とソファに座り直した。


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