俺様編集者に翻弄されています!

Chapter2

 初夏も過ぎ、真夏の太陽がジリジリと照りつける日の午後―――。


 何もしなくてもじっとりと汗ばむ陽気に、悠里はひとり家の中バテていた。


「あぢーだめだ、全然集中できない、エアコンつけよ……あ」


 そろそろエアコンをつけないとやっていけない、と思っていた矢先にエアコンが故障していたを思い出した。

がくりとうなだれて、そのまま生ぬるいフローリングに転がる。


 連載小説「忘我の愛」も佳境に入ってきたところで、悠里はクライマックスの執筆に根詰まりしていた。

 パンクしそうな頭の中に時折思い出されるのはあの夜の氷室とのキス―――。


「だぁぁぁ! もう! いつもの喫茶店に行こう」



 悠里は筆が止まってしまった時は、環境を変えて行きつけの喫茶店で執筆することにしている。

なぜか、そこの喫茶店だと落ち着いて原稿が進むのだった。


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