俺様編集者に翻弄されています!
「北村さんとお茶するなんて、久しぶりね」


「ええ、そうですね」


 その時、聞き覚えのある声に悠里はハッと入口に目線を向けた。


(あれは、北村編集長と化粧お化け作家エミリー!? どうしてここに!?)


 反射的に悠里はメニューで顔を隠し、二人が奥の席に座るのをやり過ごした。

 エミリーは終始笑顔でご機嫌のようだった。

 断片的にしか聞き取れない会話が余計に気になって、悠里は後ろめたさを感じつつも、こっそりパーテーションを隔てた隣の席に身を低くしながら移動した。
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