俺様編集者に翻弄されています!
「氷室さんって、普段はお仕事ができる方なの、私もよく知ってるわ。だから、まさかと思うのだけれど、編集者と作家の間に何か特別な関係が……って考えてしまって、でも、私はそういういっときの感情で彼のお仕事をダメにして欲しくないの、私の担当さんでもあるのよ? こちらにも支障がでるとも限らない」


「……そうですか、なるほどね」


 北村はコーヒーにひとくち口をつけると、少し考え込んでいた。なかなか自分に賛同しない北村に、エミリーは顔を曇らせていった。


「けど、後藤先生がご心配なさることではないのでは? 作家と編集者の間に何があるかわかりませんが、それは双方の問題であって―――」


「だから、私までとばっちりなのはごめんって言ってるのよ、だったら氷室さんを私の専属編集者にして欲しいわ」


「ち、ちょっと待ってください、後藤先生……」

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