俺様編集者に翻弄されています!
 痺れを切らせたエミリーの言葉に、北村も閉口せざる得なかった。

 悠里もパーテーションを隔てて、その会話を聞きながら氷が溶けて二層になったアイスコーヒーのグラスを正視したまま動けないでいた。


「そろそろ「艶人」の連載も終わりでしょ? 中途半端に氷室さんをユーリ先生から降ろすのも氷室さんが納得しないでしょうから、ユーリ先生が今の連載を終わって、新作を執筆なさる時に別の担当をつけるのはどうかしら?」


「うぅん、まぁ……ただでさえあいつが抱えてる作家多いもんなぁ……けど、うちの部も人手がなくて」


 それを聞くとエミリーは待ってましたと言わんばかりに手を叩いて笑顔になった。
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