俺様編集者に翻弄されています!
「ご心配なさらないで、私の知り合いの編集者さんが近々文芸に異動願い出すって言ってましたから、宮森薫さんって方なのだけれど、北村さんはご存知よね?」


「え? 宮森が? 知ってるもなにも彼なら以前うちの部にいた男です。あいつはどの部所でもオールマイティーに仕事がこなせるから、その話が本当ならうちも助かります」


 まんざらでもなさそうな北村に悠里は嫌な焦燥感を覚えた。


 連載が終わって新連載が始まったら編集者も変わることがある。


 今まで考えもしなかったことだが、氷室が自分の担当でなくなるのだ。



(そんなの! だめ、絶対……)


 悠里は結局、原稿を書き進めることなく逃げるように喫茶店を後にした。
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