俺様編集者に翻弄されています!
「忘我の愛」のラストは、伯爵家の人間から嫌がらせを受けた時に失明してしまった主人公に、伯爵が手を伸ばす……というもの。

 そして、自分の中で生まれた彼女への愛に気づいた伯爵は、爵位を返上してふたりで海外へ渡る。という内容になっている。



 こんなに恋愛色の強いシナリオにするつもりはなかったのだが、どうしても氷室のことを考えながら執筆したらこうなってしまった。


 どんなに歪んだ愛も、根本は純愛である―――。

 というのが、悠里の書く小説のコンセプトで、一度たりともそれを曲げたことはなかった。

 そんな隠れたメッセージに一体どれぐらいの人が気づいてくれているのかと、物思いに耽っている時に悠里の携帯が鳴った。
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