俺様編集者に翻弄されています!
「そうですか、氷室さんは、私の小説のカラーをよくわかってくれてる信用のおける編集者さんだったので、私もそのお話を頂いても賛成できなかったかもしれませんね」


 わざと棘のある言い方をしても、宮森は堪えることなく終始笑顔で悠里は逆にいらついた。


「僕も、氷室みたいにユーリ先生の気の置けない編集者になれるように頑張るよ、ところで僕が担当した作品って読んでくれたことあるかな?」


「ないです。一冊も」


 悠里は虚勢を張るようにきっぱり言い放つ。それでも宮森はへこたれない。


「……そっかぁ、残念だなぁ。僕もユーリ先生の小説の感じ理解してるつもりだけど、ユーリ先生も僕の趣向をできればわかって欲しいんだ」


「留意しておきます」


 当然、悠里はこの場でまだ宮森を受け入れることはできなかった。そんな態度に宮森は懲りもせず笑顔で接している。

 何を考えているかわからないその笑顔に不気味なものさえ感じた。



「氷室とはどんな仕事してたの? あいつ、融通利かないとこあるし、意外と不器用だから……でも、昔に比べたらマシになったかな」


「な……」

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