俺様編集者に翻弄されています!
「美岬は元気してるの? 最近全然店にもこないし、電話もないし……」


「わかりません、氷室さん担当変わったから……」


「ええっ!? なにそれ! そんなこと一言も聞いてないわよ私!」


 ナオママは悠里の隣りの席に座って煙草に火を点け、じっと悠里の顔を見つめた。


「ふふ、悠里ちゃんってほんと、頭の中何考えてるかわかりやすい人ね」


「え……?」


 まだ何も話していないというのに、何がわかったというのだろうか。実はナオママの得意技が読心術だったりしするのでは? と、よからぬ猜疑心に見舞われた。

「何か私に話したいことがあるんじゃない? それも美岬のことで」


「……そ、それは」



 ここ最近の悶々と鬱積したものを誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。だから無意識にこの店に来てしまったのだろうと、ようやくここへ何気なく来てしまった理由がわかった。

 悠里はもう自分では抑えきれない気持ちをぶつけるように、ナオママに全てを打ち明けることにした。
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