俺様編集者に翻弄されています!
「後藤エミリーねぇ……あの作家の本、一回だけ読んだことあるけど、なんかイマイチ私の趣味じゃなかったのよねぇ……」


 ナオママは脳裏にエミリーの小説を思い出しながら、煙草の煙を吐き出した。


「小説家の世界にも色々あるのねぇ……ふふ、けどね、美岬はここに来るたびにあなたの小説のことばかり話すのよ、これだけは言えるけど、美岬があなたの担当から外れたとしても……ユーリという作家をこの上なく愛してるはずよ」


 愛してる―――。


 その言葉に悠里の心が揺れた。ユーリを愛し、悠里を愛してもらえなかったとしても、それだけで十分満足だった。


「はい、氷室さんが私のためにどれだけ尽力してくれたか身に染みてわかってます。氷室さんに厳しくされても、それは私のためなんだって思ったら頑張れた」


 氷室とのことを思い出すと自然と笑みがこぼれた。

 けれど―――。




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