俺様編集者に翻弄されています!
 気がつけばもう日が半分暮れかけていて、結局、氷室にたどり着けないまま今日が終わろうとしていた。


 ロディはあれから自分宛にホテルに電話をかけたかもしれない。


 携帯を持ち合わせないことがこんなにも不便を感じるなんて思いもよらなかった。


(もうやだ……)


 悠里は何もかもが自分の行く手を阻むように思えて、やるせない気持ちに涙が出そうになった。


 壁を蹴飛ばして殴ってやりたい衝動に駆られる。

 こんな時こそくだらない妄想で気分を紛らわせいというのに、なにも浮かんでこない。



 悠里は再び途方に暮れ、肩を落とすしかなかった。
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