俺様編集者に翻弄されています!
 ―――ハドソン川に浮かび上がる夜景なんて最高に綺麗だ。


 ―――ニューヨークに住んでる頃は、よく川沿いのベンチで夜、夜景を見ながら静かに本を読んでたな。けど、俺はここの夜景も嫌いじゃない。




 そういえば、氷室に振られた夜、新宿の夜景を見ながら氷室はそんなことを言っていた。何度も氷室の声でその言葉を再生していくうちに、悠里はハッとした。



「……もしかして、もしかしてもしかして!! 氷室さん……ここら辺にいるんじゃ―――」


 疲労で軋む身体と一歩も動けない足を踏み出して、悠里はドソン川のウォーターフロントを歩き出した――。

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