俺様編集者に翻弄されています!
「お前、大胆な賭けに出たな、それでもし「艶人」から外されたらどうするつもりだったんだ?」


「その時は……その作品を拾ってくれる出版社を手当たり次第にまわるつもりでした」


「な……」


 悠里は新作を出せば必ずミリオンセラーになるような人気作家だ。


 それが、まるでデビュー前の新人作家がやるようなことを平気でやろうとしていたのには氷室も呆れて言葉も出なかった。


「けど、お前らしいな……悠里」



 ドクン―――。



「なぁ……」


「は、はい……」


 氷室の艶めいた声で名前を呼ばれて悠里は氷室を見上げた。
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