俺様編集者に翻弄されています!
「今から俺が言うこと、よく聞いとけよ?」
「はい……」
悠里はなにを言われるのかと、ドキドキしながら待っていると氷室がそっと耳元に唇を近づけて言った。
「……お前が好きだ。どうしようもなく」
「え……? んぅっ」
その言葉で脳髄まで麻痺した途端、氷室に顎を取られて熱く口づけられた。
一度触れたことのあるその唇は、まるで初めてのような感触で、合わさる唇の隙間から溢れ出す吐息に悠里は酔いそうになってしまった。
「お前が好きで……本当はおかしくなりそうなんだ。宮森がお前の担当になって、お前に触れると思っただけで狂いそうになった……はは、知らなかっただろ」
「でも、氷室さんは……」
自分の気持ちに応えてはくれなかった―――。
そう言おうとして悠里は口を噤んだ。
それを汲み取るように氷室が視線を落として言葉を繋いだ。
「……大切なもののためなら馬鹿にでも臆病にでもなる。お前が気持ちを打ち明けてくれた時、俺はただの臆病者だった」
自嘲気味に笑う氷室に、胸が締め付けられて悠里は咄嗟に口を開いていた。
「宮森さんから話し聞きました。私の小説をコミック化するって……でも、氷室さんが断ってくれたって……もしかしたら、その代償が担当を外れることだったんじゃないですか?」
「……それは」
いつもぼーっとしているくせに、こんなときだけ勘が冴えてる悠里に、氷室は舌うちそうになって眉を歪めた。
「さぁな……」
本当のことを白状してしまおうか、そう考えあぐねた結果……氷室の口からでた言葉は結局それだった。
「ありがとうございます……」
悠里はそういう氷室に思わず頬を緩め、根掘り葉掘り尋ねるのをやめた。
(氷室さん……今は何も言わずに氷室さんの優しさを感じていよう)
悠里はやんわりと氷室に引き寄せられて、抱きしめられる感覚に全て身を委ねることにした―――。
「はい……」
悠里はなにを言われるのかと、ドキドキしながら待っていると氷室がそっと耳元に唇を近づけて言った。
「……お前が好きだ。どうしようもなく」
「え……? んぅっ」
その言葉で脳髄まで麻痺した途端、氷室に顎を取られて熱く口づけられた。
一度触れたことのあるその唇は、まるで初めてのような感触で、合わさる唇の隙間から溢れ出す吐息に悠里は酔いそうになってしまった。
「お前が好きで……本当はおかしくなりそうなんだ。宮森がお前の担当になって、お前に触れると思っただけで狂いそうになった……はは、知らなかっただろ」
「でも、氷室さんは……」
自分の気持ちに応えてはくれなかった―――。
そう言おうとして悠里は口を噤んだ。
それを汲み取るように氷室が視線を落として言葉を繋いだ。
「……大切なもののためなら馬鹿にでも臆病にでもなる。お前が気持ちを打ち明けてくれた時、俺はただの臆病者だった」
自嘲気味に笑う氷室に、胸が締め付けられて悠里は咄嗟に口を開いていた。
「宮森さんから話し聞きました。私の小説をコミック化するって……でも、氷室さんが断ってくれたって……もしかしたら、その代償が担当を外れることだったんじゃないですか?」
「……それは」
いつもぼーっとしているくせに、こんなときだけ勘が冴えてる悠里に、氷室は舌うちそうになって眉を歪めた。
「さぁな……」
本当のことを白状してしまおうか、そう考えあぐねた結果……氷室の口からでた言葉は結局それだった。
「ありがとうございます……」
悠里はそういう氷室に思わず頬を緩め、根掘り葉掘り尋ねるのをやめた。
(氷室さん……今は何も言わずに氷室さんの優しさを感じていよう)
悠里はやんわりと氷室に引き寄せられて、抱きしめられる感覚に全て身を委ねることにした―――。