俺様編集者に翻弄されています!
「悪いな、俺も急に思いついたから……ろくなホテルじゃなくて」


 シングルベッドに押し倒されながら氷室の声に甘さが増していくのを感じ、悠里は全身の血が沸騰して、ありとあらゆる穴から変な湯気が出てるのではと気が気ではなかった。



(押し倒されてる! 氷室さんに!? ううう嘘!?)


「あ、あの……」


 悠里が身を捩ると、すでに開いた胸元が大きく割れる。


「あ……」


「お前って、結構いい身体してるよな……まぁ、最初から気づいてたけど」


「な、なななな」


 胸の谷間に唇をあてがわれ、氷室の手が素足を這う。



 もう逃げられない―――。


 そう覚悟して、自分を見下ろしている氷室を見上げると、氷室もまた服を脱いで素肌を晒していた。


(未開拓ゾーン解禁……氷室さんの……裸)


 そんな言葉が思わず浮かんで、思わず火を噴きそうになるのを堪えた。


(な、ななな何考えてるんだろ私!?)


「あ、あの……私」


(最後にしたのはいつだろう? もう何年も前な気がする……)


 戸惑う悠里に氷室は目を細めて小さく笑った。


「お前は目を閉じて俺に何もかも委ねてろ……ただ俺のことだけを感じていればいい」


(氷室さん……)


 二度と忘れないであろうその氷室の囁きを心のメモに書き留めて、悠里は氷室の全てを受け入れた――。

                                             END
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