俺様編集者に翻弄されています!
「え……?」


「これ、お前にやる。向こう出る時ストリートで買ったものだ、日本に着いてからそれにそっくりな奴がいたらそいつにやろうと思ってた。記念に取っとけ」


 悠里は言われるがままそれを受け取ってしまい、何が入っているのかと親指で軽く押してみると、なんとなくキーホルダーのような硬い感触が伝わってきた。


「あ、ありがとうございます」


「じゃあな」


「え? ……ちょ、ちょっと!」


 悠里が引き止める言葉をかけた時にはすでに氷室はくるりと背を向けて、ハイヤー乗り場へ向かってしまっていた。




(氷室美岬、なんなのよぉぉぉ!)
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