俺様編集者に翻弄されています!
 悠里はコンビニ袋から最初に缶ビールを取り出して、プルタブを開けると、ぐびっと喉を鳴らしてひと口飲んだ。

「ぶっはぁぁ! のどごし最高!」


 我ながらその飲みっぷりの良さにビールのCM依頼が来て、そこの制作会社の社員がイケメンというひとときの妄想を楽しみ、だらだらとテレビを観ながら自分の時間を過ごした。



 キッチンは料理をしない事を前提としたような狭さで、一週間のうち三日はコンビニ弁当、たまに友達と外食をするが、基本的には引きこもって仕事をしている。そんな時、つくづく小説家ほど孤独な職業はないと思ってしままう。


(新作の小説、まだプロットできてないや……もう日付も変わっちゃってるし、今週中までにやればいいかな……眠い)


 背中をベッドに凭れさせて、満腹至極の幸せを味わっていると、突然携帯が鳴った。

(こんな時間に誰だろう……)

 見覚えのない見知らぬ番号に悠里は警戒しながらも、悠里は通話ボタンを押した。
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