俺様編集者に翻弄されています！
　悠里は物心ついた時から絵を描いたり、頭に思い浮かんだことを文章にするのが好きで、小学校から大学に至るまで密かにオリジナルの小説を書いていた。


　大学卒業とともに一般職のＯＬに就職したが、毎日のように繰り返される同じようなデスクワークに辟易して三年勤めて辞めた。

　それから趣味の小説を書きながらバイトを転々としていたある時、大学時代の同人仲間が勝手に出版社主催の恋愛小説大賞に「愛憎の果て」という長編小説を投稿してしまったのだ。

　自分でも一番気に入っている作品だったが、特に出版社に持ち込みをしようとか、応募してみようなどという気はなかった。けれど、大賞こそは逃したものの、悠里の独特な文才が反響を呼び、書籍化されたかと思ったら映画化にまでなってしまった。

　こうして悠里は友人の思い付きであっという間にベストセラー作家になってしまったのだ。


　小説だけで食べていけるわけない！　と、両親に咎められ実家に引き戻されそうになりながらも悠里はなんとか東京で頑張っていた。


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