俺様編集者に翻弄されています！

　悠里は内心でぶつくさと文句を並べてバッグの中から手帳を取り出した。

　スケジュールを手帳に書き込むように加奈に習慣づけられてから、悠里はようやく手帳をまとめるのに慣れてきた。元々悠里はさほど細かな性格でもなかったため、たまに遅刻したり、打ち合わせの日にちを勘違いしたりしたため、いい加減加奈が手帳でスケジュール管理するように言ってきたのだ。


（そういえばもう今月も今日で終わりかぁ……それにしても、加奈も大変だなぁ……来週から出産帰省の準備なら、きっと忙しいよね）


　手帳のカレンダーを見ると、今日は月の最終日だった。

　加奈は今月いっぱいで大海出版を退社する予定になっている。きっと加奈のことだから色々引き継ぎ業務はすでにこなして、今日は有給を使って休んでいるかもしれないと思うと、最後に顔を見られなかったことが悔やまれた。