俺様編集者に翻弄されています!
(氷室さんか……)

 加奈の後任の氷室という男の影を思い出して、悠里は小さくため息をついた。氷室はかなりシビアな性格に感じられた。自分と相性が合わないことはわかりきっている。


(でも、もしかしたら……紆余曲折あって、お互い想い合う仲になったり……って、ないない! 絶対ない!)



 なんて恐ろしい妄想をしようとしていたのか、と悠里はブンブンと首を振って、今のはナシ! と何も考えなかったことにすると大海出版のエントランスをくぐった―――。

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