俺様編集者に翻弄されています!
「すみません、文芸の氷室さんに取り繋いでいただきたいんですけど」


 悠里は朝からバッチリ化粧の決まってる受付嬢に引け目を感じながらも、もじもじと声をかけた。


「はい、承っております。そのまま四階のミーティングルームへどうぞ」


「あ、ありがとうございます……」


 悠里はそそくさとエレベーターホールへ向かうと、背後でふと受付嬢たちのひそひそ声が聞こえてきた。


「ねぇ、あの人がユーリ先生だって知ってた?」


「ええっ!? 愛憎の果て書いた人? 嘘!」


「ホントだってば」


「へぇ、作品はあんな色っぽい話しなのに、書いた本人は案外地味なのねぇ……」


「シッ! 聞こえるって」

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