俺様編集者に翻弄されています!
「ああ、今来たのか」
「あ……氷室さん、おはようございます」
時計を見ると午前九時だった。ちょうど、社員らも出勤し始めてくる頃だが、氷室は既にもう数時間前から仕事をしているようだった。
ここへ来る前に一服したのだろうか、氷室が近くに寄るとふわっと煙草の匂いがした。
悠里はこの微かに香る煙草の匂いが好きだった。その匂いになぜか表現し難い大人っぽい魅力を感じてしまうのだった。誰でもいいというわけではなかったが、氷室には似合っていると直感で感じた。
「氷室さん、日本についたばかりなのに……疲れてないんですか? 時差ボケとか」
疲れてないわけないのに、一発目に飛び出た質問があまりにも愚問すぎて悠里は後悔した。
氷室はコーヒーに口をつけながら無表情に悠里を見ている。
「うちの会社に疲れてないやつなんていないんじゃないか? それでもやらなきゃなんないのが仕事だろ」
「は、はい……ごもっとも」
「んで? お前はその仕事をちゃんとやってきたのか? 見せてみろ」
悠里はまるで親に通信簿を見せる時の心境で、昨日取り急ぎ作成した新作小説のプロットを手渡した。
「あ……氷室さん、おはようございます」
時計を見ると午前九時だった。ちょうど、社員らも出勤し始めてくる頃だが、氷室は既にもう数時間前から仕事をしているようだった。
ここへ来る前に一服したのだろうか、氷室が近くに寄るとふわっと煙草の匂いがした。
悠里はこの微かに香る煙草の匂いが好きだった。その匂いになぜか表現し難い大人っぽい魅力を感じてしまうのだった。誰でもいいというわけではなかったが、氷室には似合っていると直感で感じた。
「氷室さん、日本についたばかりなのに……疲れてないんですか? 時差ボケとか」
疲れてないわけないのに、一発目に飛び出た質問があまりにも愚問すぎて悠里は後悔した。
氷室はコーヒーに口をつけながら無表情に悠里を見ている。
「うちの会社に疲れてないやつなんていないんじゃないか? それでもやらなきゃなんないのが仕事だろ」
「は、はい……ごもっとも」
「んで? お前はその仕事をちゃんとやってきたのか? 見せてみろ」
悠里はまるで親に通信簿を見せる時の心境で、昨日取り急ぎ作成した新作小説のプロットを手渡した。