俺様編集者に翻弄されています!
「小説家とは名ばかりの物書きが、この世にどれだけいると思ってる? 読み手に自分の発想、思想に興味を持たせて初めて小説は売れる」

(この人は厳しい……厳し過ぎる)


 思わずそこまで言わなくても、と抗議の言葉が口をついて出そうになる。けれど、何故か悠里は氷室の言葉がすとんと胸に落ちた。

なぜなら、なんとなく今までと違う何かを氷室から感じたからだ。

加奈は笑顔で悠里をいつも励まし、そして時にはおだてて「悠里ならできる」「悠里なら頑張れる」と何の根拠もなしに言葉を並べていた。


(氷室さんは……そういうこと言わない人種だ)
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