俺様編集者に翻弄されています！

「北村さんに無理やり休みを取らされた、休める時に休んどけってさ」


「せっかくの休日なのに、どうして私なんかと会わなきゃならないんですか？　書き直したプロットを見せるっていうのなら話しはわかりますけど……」


　警戒したような声音に氷室はまた噴き出した。今まで気づかなかったが、口では辛辣なことを言いながらも、笑うと童顔に見えた。悠里はそれになんとなく親近感を覚えてしまい、つい心を許してしまいそうになる。

（いけないいけない、なに私懐柔されそうになってるの、氷室さんは仕事での付き合いの人なんだから）

　

「お前を連れていきたいところがある」


「……え？」


　悠里は一瞬耳を疑った。男性に「連れていきたいところがある」など言われたことのなかったため、頭の思考回路が停止した。そして、ようやく理解しだすと、とんでもないことに気が付いた。

（ななな何!?　これって、まさかのデートのお誘い!?）