俺様編集者に翻弄されています!
『あんた、いつものイモルックで行くんじゃないわよ? ちょっとはお洒落していきなさい! 眼鏡だめ! ジーンズだめ!』


「えー、そんなこと言ったって……スカートまだ穿けるかわかんないし」

 加奈の言った通りの服装で行こうと考えていた矢先にダメ出しをされて、悠里はへこんだ。


『とにかく! 氷室さんの横歩くんだったらいつもの格好してると逆に目立つわよ?』


「う……」


 ―――その可能性は大いにありえる。

氷室がどんなにラフな格好をしていても、人間そのものが目立つ。


(そんな人の横に自分が並んで歩いたら……考えただけでも恐ろしいわ)


 そう思うとだんだん頭痛がしてきた。


『けど、氷室さんは売れない作家は端から相手にしない人だからね、悠里も一目は置かれてるって思っていいんじゃない? あんまり気にしないことよ』


「うん……」


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