俺様編集者に翻弄されています!
『なんだ、お前か』


 数回呼び出しコールが鳴ると、ぶっきらぼうな声が聞こえてドキリとした。


「お、お疲れ様です。あの、すみません……お願いがあるんですけど」


『なに?』


 電話口の向こうから慌ただしい騒音や声がする。


(もしかしたらまだ仕事中だったのかな……)


 そう思うと用件だけ早く言わなければと気持ちが急いてしまう。


「プロット渡すの週明けでもいいですか? じっくり考えて練り直したいので」


『……』


 しばらく沈黙だった。

仕事に気を取られているのか、それとも悠里の申し出に考えあぐねているのかわからない。


『ああ、わかった。ただしリミットは月曜までだ』


「は、はい!」


 もしかしたら申し出をあっさり拒否されるかもしれないと思っていただけに、氷室の返事は意外だった。


『じゃあ、明日十六時にな』


「はい、じゃあ……」

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