俺様編集者に翻弄されています!
「こ、これは……」


「今流行りのシャドウと、チークで血色をよくしてみたんですけど、このマスカラも目力アップって感じですごく売れてるんですよぉ」


 腰をくねくねさせながら若い女性店員は、自らのメイクアップの仕上がりに満足いったといった感じでニコニコしている。


(これが、私……? 嘘……)


 まじまじと鏡を覗き込んで自分の顔を見ると、別人がいる。

 二倍にも三倍にも伸びた睫毛、一回り大きく見える瞳にぷるんとした唇―――。

 今まで見たこともない自分の顔に羞恥さえ覚える。


「で、でも……少し濃い気がするんですけど」


「そぉんなことないですよぅ! お客様、もしかして、普段化粧とかされないんですか? だからそう見えるだけですよぅ」


「そうでしょうか……」


 ぽんぽんと気安く肩を叩く店員に悠里は眉をひそめながら、勧められた化粧品を諾々として購入した。


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