俺様編集者に翻弄されています!
「そうなんですか? 外国の映画館って行ったことないんですけど……」


「館内の床中にいつもポップコーンか散らばってる」


 氷室は足を組みながらコーラをチューチュー吸い上げて飲んでいる。アメリカに住んでいた時も、同じようにコーラを片手に映画を見ていたのかもしれないと思うと、悠里は不思議と氷室の事をもう少し知りたい気持ちになった。


「映画館って言ったらやっぱりポップコーンですよね! でも、別に映画観ながらポップコーンじゃなくてもいいと思うんですけど、饅頭とか、煎餅とか……」



 悠里が少し考えながら言うと、氷室はクスリと笑った。


「お前、ほんとくだらないこと考えるの好きだな、それに煎餅は食べた時、バリバリうるさいだろ」


「そ、そうですね……」

(なに馬鹿なこと言ってるんだろ……)

 急に恥ずかしくなって俯こうとした時、ちょうど長々しい映画の前置き宣伝が終わり、本編が始まった。
< 86 / 340 >

この作品をシェア

pagetop