俺様編集者に翻弄されています!
 悠里が「愛憎の果て」を考え出したのは今から三年前のことだった。

 様々なジャンルを試しに書いてはイマイチ人気にかけるものばかりで、その当時、悠里は長きに渡るスランプに陥っていた。



 人の心に残る小説を書きたい―――。


 そう考えてプロットを練ってはみるものの、納得がいくような話が書けなかった。そして悠里は思い立って、ボストンバッグひとつで北海道へ一週間の旅に出たのだ。

 そこで、自分の本当の書きたい小説とはなにか、人の心に残るにはどうしたらいいのか、沸々と浮かんでくる数々の疑問の答えを探し求めた。
 自分の小説を探す旅を終え、そこで悠里が思いついたのは身分差の恋愛をテーマにした物語「愛憎の果て」だった。

 


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