俺様編集者に翻弄されています！

　けしてハッピーエンドとは言えないラストの余韻が、思いのほか読み手の心に残り「愛憎の果て」は「艶人」で連載が始まるとともに人気は上昇したのだった。

　その当時は滅多にやらないサイン会もさせられ、毎日ファンレターも山のように届いた。キャンペーンだのなんだので書き下ろしの番外編も執筆した。

　今まで暇だった小説家が、急に尻に火がつくような忙しさに見舞われた。そしてその時の疲労を思い出してため息をついたその時―――。



「あぁぁん！」


「っ!?」


　映画を観ながら別のことを考えていると、突如艶かしい嬌声がして、悠里の肩が思わず跳ねた。


（な、なんだ……映画の女優の声か……びっくりした）