俺様編集者に翻弄されています!
「あ、悪い、こっちお前のだったな。間違えた」


 伸ばした手が空ぶって氷室を見ると、間違えたと言いながらも悠里のドリンクをゴクゴクと飲んでいた。


「い、いえ……」


(え!? こ、これは……間接キッス!? 私と、氷室さんが……嘘!?)



 氷室がホルダーにドリンクを戻したのを横目に見たが、悠里は妙な胸の高鳴りを覚えて、喉が渇いていてもすぐに手をつけられなかった。


(今すぐにでも飲み物を飲みたい……! でも、間接キスに飛びついてるとか思われたくないし……でも、この人に限ってそんなこと関係なさそうだけど)



 結局、気にしてるのは自分だけだ―――。


 そう思うことにして、悠里はドリンクを手に取った。するとその時、ストローに口をつけると同時に氷室が悠里の耳元に口を寄せてボソリと囁いた。


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