俺様編集者に翻弄されています!
「あ……間接キス」


「ぶっ! げほっ! ちょ……」


 耳元で囁かれると、意外にも艶っぽい氷室の声音に、悠里はたまらずコーラを噴き出してしまった。


 それを見た隣りの男が、咳払いをしながら迷惑そうに睨んでいる。


「す、すみません……」

(そんな睨まなくったって……)

(濡れ場でハァハァしてたくせに!)

 
 悠里は内心悪態をついてハンカチで口元を拭った。小声で文句のひとつ言ってやりたい気持ちを抑えながら、氷室を睨むと、口元を抑えて笑いをこらえきれないといった様子で肩を震わせていた。


(もう! 信じられない!)


 悠里は真っ赤になりながら両頬をへこませて、勢いよくストローからジュースを吸い上げた。
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