俺様編集者に翻弄されています!

Chapter3

「っ!?」 


 映画館を出るとその時、不意に新作のプロットの流れがどんどん湧き出るように浮かんできた。

(この感じ……!)


 それはまるで湧き水のようにアイディアが流れ出て、堰止めることができない。

「愛憎の果て」のプロットを思いついた時と同じ感覚に、悠里はいてもたってもいられなくなってきた。


「氷室さん!」


「な、なんだよ急に……」

 突然大声で名前を呼ばれて驚いた氷室が振り返る。


「私、帰ります! なんていうか、今すぐパソコンに向かわないとこの勢いに乗れない気がするんです。すみません、言ってること意味不明ですよね……」



小説家には小説家にしかわからない感覚がある―――。


(きっと氷室さんならわかってくれる……)





< 95 / 340 >

この作品をシェア

pagetop