俺様編集者に翻弄されています!
「できた! これで完璧!」


 時計を見ると既に日付は変わっていた。自分が何時に帰ってきたのかさえ既に記憶にはなかった。

 今まで神経を張り巡らせて集中していたのが急にプツリと切れると、次第に猛烈な眠気が襲ってきた。悠里は眼鏡を押し上げて目を擦り、もう一度かけ直した。その時、ふと思わず衝動買いしてしまった新しい化粧品や、メイクアイテムに目が行き、徐に中身を取り出してそれを呆然と見つめた。


 ――お前、二度と俺の目の前であんな化粧すんな。


 氷室の言葉を思い出すと、悠里の心が重苦しく沈んでいった。


(氷室さん、どうしてあんなこと言ったんだろう……私には、化粧なんて似合わないってことなのかな……)


 そんなことを考えながらも、氷室に思い切り顔を洗面台にぶち込まれて、顔をゴシゴシされたことを思い出した。

(やっぱり、あんなの無茶苦茶だよね……! そう思ったらなんかムカついていた!)






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