紅 × 蒼
お世辞にも清潔とは言えない、廊下。
その廊下を、私は聖也さんと並んで歩く。
「蒼さんは・・・・龍華の倉庫の前で倒れていたそうです。 ずぶ濡れの彼女を保護したのが彼等で、それからずっと一緒にいるようです。」
あぁ、そういえばあの日は雨だったね。
突然、飛び出して行ったよね。
「龍華の幹部はどんな人たちですか?」
「幹部の方ですか・・・。とにかく皆さんイケメンですね。 この学園のスターと言っても過言ではありません。 ケンカの腕は、もう言わなくてもお分かりでしょう。」
ケンカの腕はすごいのね。
言わなくても分かるわ。
「・・・彼女の教室は、ここです。」
本棟より少し離れた、『2-E』と書かれたプレートの教室。
「特別教室か何かですか?」
私がそう聞いてみると・・・
「いえ、特別教室・・・というかなんというか。 彼らは勉強がしたくないがために
このあまりの教室をたまり場に、しはじめましてね・・・・。」
要するにクラスでも何でもないって事だ。
「では、私はこれで。 中は不良ばかりなのでお気を付け下さい。」
「はい。 ありがとうございました。」
彼の背中を見つめながら、深々と頭を下げた。