紅 × 蒼
side by KOU
藤宮 帝
・・・聞いた事はあった。
龍華の現総長であり、藤宮組の次男。
整った顔に長身の黒髪。
全てが作り物の様な彼は、ものすごい威圧感を放っている。
もちろん、その威圧感は私に向けられたモノ。
でも、こんなのでいちいちビビってられない。
「・・・藤宮 帝か。」
小さく呟いたつもりだけど、この教室に響くには十分な声の大きさだった。
「何者だ。てめぇ・・・なっ!?」
藤宮帝は気付いた様だ。
恐らく、私と蒼がそっくりな顔だという事に。
「な、んで、ここに・・・。」
藤宮の後ろから聞こえた小さな声を私は聞き逃さなかった。
彼女はガタガタ震えていて、明らかに私を拒絶した目をしている。
・・・そんな目をしないでよ。
「おいで、蒼。」
静寂に包まれた中、私の声だけが響く。