紅 × 蒼
side by KANON
「・・・お前ぇ、どんだけの力で殴ったんだよ。なかなか目ぇ覚まさないぜ。」
あの騒動から一時間は経っただろうか。
あのまま蒼は寝かせ、俺に殴られて気絶した‘コウ’と言う女は気絶したまま。
そして、一端倉庫に戻ってきた俺達は、幹部室にて話し合いをする事になっている。
「別に、強くしたつもりはない。」
口の端が切れて、痛そうにしながらも‘コウ’を心配し続ける海里。
そんな奴連れて来なければいいのに。
俺はそう思うけれど、蒼と関係がありそうなこの子にうちのボスは聞きたい事があるらしい。
「まぁよ。 どうすんだ? 蒼とその子が目ぇ覚ますまでには、時間がかかりそうじゃねぇの。」
幹部椅子にて、たばこをふかしながら言う律樹(リツキ)。
「このまま待っていても、ラチがあかないよ。」
幼さを含んだ声で、駄々をこねる哉汰(カナタ)。
「・・・・・。」
そして、ずっと無言のうちのボス、帝。
それぞれがそれぞれの思いを掲げて、この場にいる。
まぁ、俺も例外じゃないけれど。