紅 × 蒼
「蒼の、双子の姉よ。」
・・・誰も何も言わない。
「蒼から聞かなかったの? 私の事。」
冷淡に告げれば、幹部に焦りの顔が見える。
「もう、言う事はないはずよね。」
一人でしゃべるのは終わりにしよう。
「ど、どういうつもりだ?」
・・・誰が聞いてきたかも分からない。
「こういうこと。」
手元のビンを床にたたきつける。
「な、なんだ?」
ビンから拡がったのは白い粉。
一瞬のうちに部屋を覆い尽くす。
「睡眠粉よ。身体に害はないから。」
息を止め、幹部室の隣の部屋へ入り込む。
「蒼・・・・。」
煙たくなんか無いはずなのに、綺麗に眠る私の妹を見れば、息をする事さえも苦しくなる。
「こんな、運命を背負わせてごめんね。」
私の手から一房、蒼の髪の毛が落ちた。