紅 × 蒼




「全く!あの女なんなんだよ。



繁華街で噂になったこともねえし、都内の高校生ですらわからなかったんだぞ?



蒼の双子っていうから、同い年のはずなのに。」





騒がしく幹部室に入ってきたのは、律樹と海里。




どうやら情報は無かったらしい。









半年前のことだ。





龍華の倉庫の前で倒れていたあいつを見つけて、俺らの仲間に入れた。




初めは目も合わせてくれなくて俺たちは相当苦労したけれど、今はすごく明るくて彼女の笑顔で満たされてきた。



だけど




「そういえばさ、蒼は自分の生い立ちとか話してくれたことなかったよね。」




さみしそうな海里の声が響く。






「訳ありだとは思っていたが、こりゃ何とも言えない感じじゃねぇか。」






煙草の紫煙がふわふわと俺らを囲む。




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