紅 × 蒼
そう、やっとね。
「失礼します」
私は理事長室の前に立ち、今扉を開けた。
「誰だ?」
低く、明らかに私を警戒しているであろうオーラを漂よわせた声が聞こえた。
薄暗い理事長室には、写真、バイクの模型などが飾ってある。
その中心、何故か黄色い机と椅子に座った、人影が見えた。
さっきの声の主もきっと彼だろう。
「入れ」
扉の前で中々動かない私にしびれを切らしたのか、今度はより一層低い声。
「失礼します」
何にも動じないかの様に私は理事長室に
入っていった。