ミラーズ
虚像≒ハジマリ
-―紅い血が闇夜に浮かぶ時、悪魔憑きの眼息吹く

小さい時より頭から離れない言葉だ。高校に上がる頃には大体意味が分かってきたが、あまりにバカらしい。ゲームの中のフレーズみたいだから。

自身が幸せじゃないからこんなマイナスの思考が浮かぶのかもしれない。小さい時に両親が他界してずっと親戚の家で肩身の狭い生活を続けてきた。あの言葉もその頃から頭に焼き付いたから尚更だ。ろくな愛情も受けぬまま孤独に暮らしてきた。親の遺産で学校へ行き、小学生から友人と遊ばず、放課後は食費を稼ぐために近所の怪しい店でバイトした。

突然で申し訳ないが、俺には他人には見えないモノが見える。そこらを歩いている犬や猫とは違う。口で説明しにくいが、2本足で立つ屈強な肉体に鳥類の様な翼、頭は人間のソレとは違った。一言で言えば奇妙。アイツらは両親の死を告げられた次の日を境に可視(みえ)始めた。アイツらからは俺が見えない様で、逆に俺以外のニンゲンからも見えてない。

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