ミラーズ
「名前なんか聞いてないぞ!俺はお前が見ているやら視せているやら言ってたから…!」

「このコートはのぉ…最近仕立てたばっかりなのじゃ…」

「話を聞け!」

話によるとこの幼女…もといアルビェルとやらは異形の正体で、小さい頃から見えている異形達もコイツが俺に視せていたらしい。

「人間の涙というのは…たまに悪魔をも喚ぶ程の密度の魔力を含んでいて…特に哀しみの涙は…」

分かりやすく言えば、俺が両親の死によって得た奇妙な能力はコイツが俺の涙を欲したからこっちに呼び寄せる為に視せていた虚像だというのだ。

「誰でもいいんじゃないのか!?だいたい鏡に映ったお前を俺はどうやって?今見えるのは何故だ?虚像なのか?」

「儂は実像じゃ…それしか…今は言えない」

アルビェルはそれからしばらく口を開かなかった。
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