ミラーズ
奴の話を纏めると、虚像とは俺が見ていた異形達のことで、俺が幻を見ていたってことになる。

「じゃあさ、俺は今まで嘘をついたことになるのかな?」

勝手に口から出た言葉だ。

「嘘ではないぞ…お前が見ていたのは虚像であって幻ではない…」

「だから意味が!」

「お前が見ていたのはお前の棲む世界……司界の裏である此処エルラの者達の姿の鏡映し…」

「つまり儂がお前に与えた眼は司界からエルラの様子を見れる眼力…お前にしかエルラを救えないから…」

つまり、俺の両目には違う世界の様子が見えていたことになる。
でも、俺にしか此処が救えないってのはどういうことだ?

「難し過ぎてついて行けないが…お前は俺にチカラをくれたワケだな?」

「与えたというよりは能(あた)えたというべきじゃ…お前から鏡の世界を欲したから儂が力を得るチャンスを作り…それをお前は実行した…すまぬ…お前の両親が死んだのも全て見ていた…でも当時の儂には救う資格がなかった…だからボリスに…」

どういうことだ!?まるで両親が事故で死ななかったみたいに言っているんだ?

「ボリスというのはエルラの名門3家…儂らは3族鬼と呼んでおる…その1つのボリス一族…お前の両親を殺害したのはボリスの現当主…フィーナ・ボリス…悪魔の様な…いや儂らは現に悪魔なのじゃが…奴は目的のためなら何でもする…」

「目的って…まるで両親が邪魔だったみたいじゃないか!?」

「此処はいろいろとマズい…儂について来い…」

アルビェルについて行くと、洋風な家に着いた。まるでお伽噺話に出てくるような立派な洋館だった。

「入って右の部屋で待っておれ…」
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