放課後のキス、恋の始まり。
ありがとうございました、と言う声に見送られて私たちはカフェを後にした。
「久世くん、私のケーキいくらだった?」
夕日も少し傾いた空にそう言った私の声が吸い込まれていく。
すると久世くんは、
「ひ・み・つ」
と言っていたずらっぽく笑った。
「何でよ!? 教えてくれなきゃお金払えないでしょ!?」
「ここはどう考えても俺の奢りだろ?」
「あなたに奢られる義理は無いっ」
そう言った私の左手を攫い、ギュッと握った。
来た時と同じ“恋人繋ぎ”
そして自然と彼は車道側を歩いている。
……こういうとこ、女慣れしてるなーって感じだよね。