腐女子、恋愛のススメ~ケースバイ・ミキ~
男たちの話なんて、あたし、いや、ボクには全然聞こえていなかった。
あるのは、痛みと、タケちゃんに対する罪悪感だけ。
「・・・っうう」
(でもきっと、これが終わったらいつもみたいに、優しく抱きしめてくれるよね…?)
タケちゃんの笑顔とか、声とか、体温が、走馬灯のように浮かんでは消えた。
(辛いのはタケちゃんだよね…ごめんね・・・)
「こいつ・・・絶対変だって」
「俺もそう思う」
痛さと息苦しさで、意識が朦朧としてくる。
完全に意識を失う前、あたしはぼんやりとした光悦感を感じていた。
(すごい・・・小説通りに意識失うなんて・・・すごい)